「することの目的をはっきりさせる」とは?
はじめてこの「気持ちを整理する」をご覧になる方は、まずこれを読んでください。
6月から始めたこのシリーズは今回で一段落しますが、今回を含めてこれまでに書かれている内容には、できそうもない理屈は書いてありません。ですからこれらを読んだらそれを実行するかどうかは、あなたが決めてください。お読みになって実行する価値があって、実行できるものが見つかったら、それをあなたの手で試してください。この「気持ちを整理する」はそのようなものです。
さて今月は、あなたの気持ちを整理する手段として、「することの目的をはっきりさせる」ことを取上げます。これは習慣ですから、練習すれば身につきます。
私たちは、毎日起きてから寝るまで、数え切れないほどいろいろなことをしていますから、そのいちいちの目的をはっきりさせることはとてもできないし、第一そんなことは意味がないとお考えになるかもしれません。
もしそう考えるなら、この「することの目的をはっきりさせる」を、あなたがその目的がはっきりとわかることからはじめると良いでしょう。例えば、私たちの生活の「衣・食・住」に関することではどうですか?
「衣」は手に入れること、着ること、それに洗濯などその手入れをすること。「食」は、食べることと、その前後の準備や後片付けが入ります。それには外食なら、どこで何を食べるか、いくら払うか、誰と食べるかなどです。「住」は、家や自室、オフィスの選択に整頓や掃除、模様替えなど、住まいの環境をどのように整えるかです。
こうした「することの目的をはっきりさせる」の後ろには、「何のためにそれをするか」を考えることが続いています。別の言葉で言うなら、あなたが「何がしたくてそれをするか?」です。○○さんと会って食事をするなら、「○○さんに今の自分の暮しを話して、相手の意見を聞く」とか「○○さんに来月の会に来て話してほしいと頼む」などの目的があるはずです。
それでは「することの目的をはっきりさせる」にはどうするかで気のついたものを、3つあげておきます。ヒントにしてください。始めに自分は何をしたいかをはっきりと意識することです。はっきりと意識するとは、それを言葉に出して自分に言えることです。
二番目は、その目的が形式にとらわれないようにすることでしょう。例えば高齢者の役に立つためには、老人ホームなど施設でボランティアするばかりでなく、あなたの家の近くに住む老人に親切にすることも入ります。三番目は目的が簡単明瞭なことです。「良い生活習慣を身につける」、「就職先を見つける」「早起きする」、「禁煙する」などはその目的がはっきりしないから、目的になっていません。「分り切ったこと」といわないで、分りきったことをやっているつもりだと永続きしません。「良い生活習慣を身につける」ために早起きするなら、「早起きして出勤前にxキロメートルのジョギングをする」が目的となります。そしてその後には「X月X日までに、体重を2キロ減らす」が控えています。他に「小説○○を2ページ音読する」、「英語の文章をひとつ読む」などの例で練習してください。
ついでに書けば、この目的は必要な時に、自分に聞かせるためのもので、他人に話すためのものではありません。
「することの目的をはっきりさせる」と、何故「気持ちを整理する」ことにつながるのでしょう?
毎日あたふたと忙しがっているにしては、一日を終ってから一体何をしたかがわからないで次の日を迎える-と考えるようなことがなくなるのが第一です。つまり何となく時間を過ごさないで済むわけです。これは、一日を終って今日は何をしたのだろうと考えたり、趣味の稽古や練習でも「少しも進歩がない」などと、無意味に自分を責めたりしないようになることです。
そしてこれが続くと、そのうちに、あなたがこの次にやりたいことを自分で考える/生み出す習慣がつきます。あなたにとっての次のゴールが見えて、それに向って「計画」「実行」「評価」を促進して生活の「品質管理」ができるようになります。
「あまり目的、目的ばかりでは息が詰まる」のだったら、一日にひとつかふたつして御覧なさい。■