上野義道ホームページ-高井戸だより

Ｘ月Ｘ日

今年の暮にこの個人サイトの英語版を開くことにして、4月から準備しています。私が日頃周りの人たちに話している「発信」の範囲を拡げて英語版を開く目的は、私のような平均的な日本人の考えていることを、意識して外国の友人に伝え、できれば日本と日本人にもっと興味を持ってもらうためです。
自分の考えを読んでもらうのですから、準備の大半は英語の文章を書くことになります。この作業は英語を母国語としない私にとって、今から７年前に日本語のサイトを開いた時よりも多くの時間が必要です。外国語で自分の考えを100 ％適切に表現できるわけではありませんが、誤った表現はできるだけ避けるつもりです。そのためにはどうしても、英語を母国語にしている人の助けが必要で、6ヶ月前から決って準備した英文を、毎週一時間半見てもらっています。

金曜日は朝7時前のバスで荻窪に行き、そこから5分ほど歩いて、NPOの＜「見る・聞く・話す米語サロン」という名の＞教室の先生に一時間、英文原稿の添削をしてもらいます。材料は10 年以上前に自費出版した「典廐寺の桐」の内容の一部と、自分の考えや上に書いた米語クラスで自分の話したことが中心です。
英語でそうそう洗練された表現は無理としても、自分の話の中身がそれを読む人に明快に伝わるような文章、その場で最も言いたい表現が身につくように、またできるだけそこにふさわしい言葉を選ぶようにと考えています。
はじめの頃は、大文字と小文字、冠詞類、前置詞などの使い分け方、略語の書き方、複合語（二つの単語がひとつになっている語）の書き方、“,”、“：”、“；”などの使い方は壊滅的でした。「生きた文章を書く」と言われる言葉の活用をちら名いことにいまさら驚きます。「生きた文章を書く」ことができないのです。アメリカ時代に耳で覚えた口語表現が、そのまま文字にすると全く間違っていたことを知ったのもひとつやふたつではありませんでした。
今ここで、私はこれまで自分がしでかした滑稽な失敗例を書きたくてうずうずしていますが、まあ、やめておきましょう。

その代りに－と言うのも何ですが、私はこんな「日本的な」文章を訳しているのです、と見本をお目にかけましょう。「日本的な」とは、先生の評です。どこが日本的なのかは、次の文をお読みになって考えてみてください。「ｘｘは40代後半で、私の二回り近い年上だった。文字通り皆の上に君臨している感じ、生殺与奪の権を握っていると言う表現がそのまま当てはまる感じで、2メートル余で100キロ以上はある体に、零細企業のオーナー特有の家長風の威厳と気ままさ、それに使用人に対するこまかい心遣いが程よく混じりあっているのが見られた。」（ジェーンズビルウィスコンシン‐You meet the Nicest people… 「典廐寺の桐」）■<101009>