上野義道ホームページ-「英語を社内公用語にする」会社

呆れた話

ジャナリズムは、ニュースによってはそれを「呆れた話」と片づけることはできないのだろうか？このところ新聞は、記者の言う公器をつかって私怨を晴らしているかに見える。

それはこうしたことだ。相撲界で賭博があったのは世間に伝えるべきニュース。その相撲協会幹部に、NHKの記者が捜索情報を流したのはいわば「呆れた話」。表に出れば、いわば業界内の話で、一般市民はあまり関心を持たない。業界内のルール違反にいきり立つ気持はわかるが、世間に影響することとしての本質が違う。また、国会議事堂内で女性議員がファッション写真の撮影をしたことなども「呆れた話」と片づけてほしい。これは、世論の形成を助けるジャナリズムの見識というものだろう。

釈迦に説法の気味があるが、「平和」、「飽食」、「人権」ボケの21世紀の世間に影響することは、弱者の人権＜家庭、介護現場＞、環境＜住、教育、勤労＞、公平さの追求＜雇用、労働時間、一票の格差など参政権、国が受け入れた難民の生活＞が八割だろう。残された２割の、いわば「呆れた話」に大騒ぎしないでほしい。対中国外交に、「大人の対応」をした国家の新聞なら、報道活動もその伝でしてほしい。

私企業としての新聞社の経営をめぐっては、最近いろいろ問題があるかに聞くが、これは門外漢の立ち入るべきことではないだろう。ただ、消費者としての読者からすれば、対価にふさわしくない「製品」が目につく。新聞週間などと、お手盛りの行事で自社主催の「シンポジュウム」などの場で、紙面を大幅に割いて、常連の寄稿者から耳に快い言辞を引き出すばかりが能ではない。

時に読者の目にしたい「製品」がある。現職政治家の言葉を借りてであっても、最近の「苦い教訓」から、ジャナリズムは常に両刃の剣を握って行動せざるを得ないことを、身内の人間が認めて、対策を訴えた数少ない真率な記事(2010年9月18日付『朝日』40版「玄葉氏の視線脱『小沢神話』メディアも」)などがそれだ。■<102510>